ニキビ跡クレーターは
なぜできるのか?
ニキビ跡クレーターとは、ニキビの炎症が皮膚の奥深くである真皮層や皮下組織にまで達し、肌の構造が壊れてへこみが残ってしまった状態をいいます。医学的には「陥凹性瘢痕(かんおうせいはんこん)」と呼ばれ、ニキビ跡の中でも特に改善が難しいタイプに分類されます。
炎症が強かったり、同じ場所に繰り返しニキビができたりすると、コラーゲンの生成が正常に行われず、皮膚が下に引き込まれてしまいます。初期の段階では毛穴が広がったように見える程度ですが、進行すると凹凸が目立つようになり、化粧では隠れにくくなります。
セルフケアだけでは改善が難しいため、医療的な治療を検討することが大切です。
ニキビ跡クレーター(陥凹性瘢痕)の定義
陥凹性瘢痕は、皮膚に炎症や外傷が起きたあと、組織の修復がうまくいかず、肌の表面がくぼんでしまう状態を指します。ニキビによる炎症が真皮層まで達すると、コラーゲンや弾性線維が損傷し、皮膚が再生する際に均一な組織が形成されなくなります。
その結果、滑らかな肌が保てずへこみが残ります。
また、体質的に傷跡が残りやすい方やニキビの炎症を長期間放置してしまう方は、クレーターができやすい傾向があります。
ニキビ跡クレーターの種類
クレーターには形や深さの違いがあり、主に「アイスピック型」「ボックス型」「ローリング型」に分けられます。それぞれの特徴を把握することで、治療の方向性を判断しやすくなります。
アイスピック型
アイスピック型は、針で刺したように細く深い穴が残るタイプです。
直径は1〜2mmほどですが、真皮層の奥まで達する場合があります。毛穴に沿って線維化が進み、皮膚の内部に細いトンネルのような構造ができることで生じます。
深さがあるため、表面的な治療だけでは効果が得られにくいのが特徴です。
ボックス型
ボックス型は、水疱瘡の跡に似た角ばった凹みが特徴です。
断面は垂直に近く、影ができやすいため目立ちやすい傾向があります。炎症が治まる過程で異常な線維化が起こり、皮膚が下方向に引かれることで形成されます。
浅いタイプから深いタイプまであり、深さが増すほど光の加減で凹凸が際立ちます。
ローリング型
ローリング型は、浅く広がるようにくぼんだタイプです。
皮下組織で線維が皮膚を引っ張ることで波打つような質感になります。表面の損傷は比較的少ないものの、光の当たり方によって凹凸が強調されることがあります。
頬のように皮下脂肪が多い部分に生じやすい点も特徴です。
クレーターは “混在型”が多い
実際のニキビ跡は、ひとつのタイプだけでなく複数のクレーターが混ざり合っている場合がほとんどです。アイスピック型とボックス型、ローリング型とボックス型が同時に見られることもあります。
混在している場合は、治療を一つに絞るのではなく、複数の治療法を組み合わせることでより高い改善効果が期待できます。肌の状態を正確に見極め、タイプに応じた施術を行うことが重要です。
部位(頬・こめかみ)にできる傾向
クレーターは、頬やこめかみなど皮脂の分泌が多い部位にできやすい傾向があります。
これらの部位は毛穴が大きく、ニキビが繰り返し発生しやすいため、炎症が深部まで進行しやすいのが特徴です。さらに、表情の動きが多い部分でもあるため、治癒の過程で皮膚が引っ張られ、へこみが残ることもあります。
このような部位の治療では、肌の再生を促しながら凹凸を整える施術を組み合わせることが効果的です。
ニキビ跡の赤みと炎症後色素沈着との違い
ニキビ跡といっても、すべてがクレーターになるわけではありません。炎症の度合いや深さによって、赤みや色素沈着だけが残る場合もあります。
赤みは、炎症後に拡張した毛細血管が透けて見える状態で、時間とともに自然に落ち着くことが多いです。
茶色や紫色に見える色素沈着は、炎症によって生成されたメラニンが肌に残っている状態です。紫外線や摩擦によって悪化することもあります。
これらは皮膚の表層から浅い真皮にかけて起きる変化ですが、クレーターはさらに深い層で組織が損なわれている点が異なります。
そのため、スキンケアや市販の美容液では改善しにくく、医療機関での治療が必要です。
ニキビ跡クレーターは、炎症が皮膚の深い層にまで達し、組織が破壊されることで生じます。
ニキビができた時点では毛穴の詰まりや皮脂の過剰分泌が原因ですが、炎症が悪化するとアクネ菌が増殖し、周囲の皮膚組織にまでダメージが及びます。特に、膿を伴うような重度のニキビになると真皮層が損傷し、皮膚が正常に再生されなくなります。
真皮層はターンオーバー(皮膚の生まれ変わり)の働きがないため、一度損傷すると自然には修復されません。
このため、へこみや凹凸が残り、クレーターのような跡が形成されます。
ニキビの強い炎症と長引く炎症
ニキビ跡を防ぐためには、炎症が起こる前の段階でニキビを早めに治すことが重要です。ニキビが軽度のうちに治れば、赤みや一時的な色素沈着にとどまり、時間の経過とともに自然に薄くなることもあります。
一方、炎症が真皮まで及ぶと、皮膚組織が破壊されクレーターが残ってしまうため、ニキビが悪化する前に適切な治療を受けることが最も効果的な予防策です。
また、ニキビをつぶしたり、指で触れたりする行為は炎症を悪化させる原因になります。体質によって跡が残りやすい方もいますが、清潔な環境を保ち、刺激を与えないように心がけることで長引くリスクを減らすことができます。
嚢胞性ニキビで真皮が破壊される
嚢胞性ニキビは、皮膚の深い部分に膿がたまる重症のニキビです。
内部では強い炎症が起こり、アクネ菌の増殖によって真皮層の組織が壊されます。真皮層が損傷するとコラーゲンが失われ、皮膚が内側へ引き込まれるように変形します。
これがクレーターの原因となります。
放置による悪化で瘢痕化リスクがあがる
ニキビを放置すると、炎症が長引き、皮膚の修復機能が低下します。
炎症が続いた状態では、肌内部で線維組織が過剰に作られ、硬い瘢痕となって残ります。こうした瘢痕は自然には消えにくく、時間が経過してもクレーター状に残ることがあります。早期に皮膚科を受診し、適切な治療を行うことが大切です。
物理刺激・誤ったケア
日常生活で行うスキンケアや習慣が、知らないうちに肌へダメージを与えていることがあります。特に、自己流のケアや強い刺激を加える行為は、炎症を悪化させクレーターを作る要因となります。
つぶす・引っかく・角栓押し出しのリスク
ニキビをつぶしたり、爪で引っかいたりすると、炎症が広がるだけでなく、皮膚の深い部分まで損傷することがあります。
角栓を無理に押し出す行為も同様で、毛穴の壁を傷つけて炎症を悪化させる原因になります。自己処理を繰り返すと瘢痕が残るリスクが高まるため、ニキビが出来たらなるべく触らないようにしましょう。
過度なピーリング
ピーリングは古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促す効果がありますが、頻度が多すぎると皮膚のバリア機能が低下します。
バリアが弱まると炎症が起こりやすくなり、かえってニキビを悪化させることがあります。自己判断での過剰なケアは避け、肌状態に合わせて医師の指導のもとで行うことが大切です。
スクラブ洗顔による強い刺激
スクラブ洗顔を頻繁に使うと、肌の表面が摩擦で傷つき、炎症を招くことがあります。
すでにニキビがある状態で使用すると、炎症部分が悪化して膿が広がる場合もあります。やさしい洗顔を心がけ、洗いすぎないように注意しましょう。
体質等の遺伝的要因
ニキビ跡のクレーターは、体質的な影響を受ける場合もあります。
傷が残りやすい肌質や、炎症を起こしやすい皮脂分泌タイプの方は、クレーターができやすい傾向があります。また、ホルモンバランスの乱れや免疫反応の強さも関係しています。
こうした体質的な要因は完全には防げませんが、早めの治療や適切なスキンケアで悪化を防ぐことができます。
クレーター状のニキビ跡は、一度できてしまうとセルフケアでの改善が難しくなるため、ニキビをクレーターに進行させないための「予防」が最も大切です。
炎症が起きる前の段階で適切なケアを行い、ニキビを悪化させないようにしましょう。
毎日のスキンケア
肌に刺激を与えない洗顔と保湿が大切です。洗顔は朝と夜の2回を目安に、泡でやさしく洗いましょう。強くこすったり、熱いお湯を使ったりすると炎症が悪化します。洗顔後は、肌に水分を与えつつ油分を控えめに整えるのがポイントです。
化粧品は「ノンコメドジェニックテスト済み」など、毛穴が詰まりにくいものを選びます。ビタミンC誘導体やナイアシンアミド入りの化粧水は、皮脂の分泌を整える働きがあります。
週に1〜2回の角質ケアも効果的ですが、粒子の大きいスクラブケアや、強いピーリングは避けてください。紫外線による炎症や色素沈着を防ぐため、日焼け止めは一年中使用しましょう。
生活習慣の改善
睡眠不足やストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の分泌を増やします。6〜8時間の睡眠を心がけ、ストレスを溜めない生活を意識しましょう。軽い運動を取り入れると血行が良くなり、肌の再生が促されます。
過労や不規則な生活はニキビを繰り返す原因になるため、できる範囲で生活リズムを整えることが大切です。
食生活の見直し
脂っこい食事や甘いお菓子は皮脂を増やし、ニキビを悪化させます。野菜・果物・魚・豆類を中心に、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
ビタミンB群やCは皮脂の調整や炎症の抑制に効果的で、十分なタンパク質摂取は肌の回復を助けます。また、水分をこまめにとり、アルコールやカフェインの摂りすぎを控えることも肌トラブル予防に有効です。
日々の小さな習慣を見直すだけでも、ニキビ跡やクレーターの予防につながります。炎症が続く場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
ニキビの炎症が真皮層まで進むと、皮膚の組織が破壊され、自然には回復しにくくなります。クレーター状にへこんだ肌は、ターンオーバーだけでは再生されないため、医療的な治療が必要です。
セルフケアでは改善が難しいため、専門の医師による診断と治療を受けることが重要です。
1回の治療でゼロにはならない
クレーターの治療は、一度の施術で完全に消えるものではありません。
皮膚の再生には時間がかかり、数回にわたって治療を行うことで、少しずつ凹みが浅くなっていきます。症状の程度や肌質によって効果の現れ方が異なるため、医師と相談しながら継続的に治療を進めていくことが大切です。
“タイプ別に効きやすい治療”がある
クレーターには、アイスピック型・ボックス型・ローリング型など、いくつかの種類があります。深く細いアイスピック型にはTCAピーリングや炭酸ガスレーザー、広くなだらかなローリング型にはサブシジョンが向いています。
タイプや肌の状態に合わせて治療を選ぶことで、効率よく改善を促すことができます。
治療方針に合わせた内服薬の服用
クレーターの治療では、施術と並行して内服薬を用いる場合があります。
抗炎症作用のある薬や皮脂分泌を抑えるビタミンB群、肌の修復を助けるビタミンCなどを組み合わせることで、治療効果を高めることができます。
服用方法は肌の状態や治療の進行に合わせて医師が調整します。
自己判断での薬剤使用やサプリメントの併用は避けるようにしましょう。
ダーマペン治療
ダーマペンは、ニキビ跡クレーターの改善に効果的な治療です。髪の毛よりも細い針で皮膚に微小な穴をあけ、肌が本来もつ再生力を刺激してコラーゲンやエラスチンの生成を促します。損傷した真皮層が内側から修復されることで、凹んだクレーターが徐々に滑らかになります。
フェミークリニックでは最新機器ダーマペン4を採用。33G(約0.2mm)の極細針を使用し、麻酔クリームを併用するため痛みはほとんどありません。※麻酔代は施術料金に含まれています。
また、薬剤を組み合わせることで赤みや色素沈着にも対応できます。
ペン型の構造により、小鼻や頬など細かい部位にも均一に施術でき、毛穴の開きや肌全体の質感改善にも効果があります。
クレーター状のニキビ跡を内側から整えたい方におすすめの治療です。
サブシジョン
サブシジョンは、クレーター状のニキビ跡に適した治療です。皮膚の下で硬く癒着した組織を針で切り離し、へこんだ部分を持ち上げます。表面からの治療では届かない深い層に直接働きかけるため、ローリング型のクレーターに効果的です。
フェミークリニックでは、医師がクレーターの深さや形を見極め、症状に合わせて剥離の範囲を調整します。施術後は、ACRSやリジュラン、スキンバイブ(ボライト)などの再生注入を併用し、再癒着を防ぎながら肌の再生を促します。
浅い凹みと深いクレーターが混在する場合には、真皮層と皮下組織の両方を丁寧に剥がす二層剥離法を採用。凹凸の状態に合わせたアプローチで、滑らかな肌に整えます。
アブレージョン
アブレージョンは、皮膚表面を削って滑らかにする治療です。炭酸ガスレーザーや専用器具を使い、古い皮膚を除去して新しい皮膚の再生を促進。浅いクレーターや肌の凹凸を整えるのに向いており、肌全体の質感を改善できます。
深いクレーターには、サブシジョンと組み合わせることで効果が高まります。
サブシジョンが皮膚の内側に、アブレージョンが表面に働きかけるため、両方を行うことでより均一な仕上がりが期待できます。
その他の治療方法
症状や希望に応じて、再生療法やピーリング治療を組み合わせることもあります。
ACRSは自身の血液から抽出した成長因子を注入し、コラーゲンの生成を促す方法です。アレルギーの心配が少なく、自然な肌再生を促します。
コラーゲンピールは真皮層に働きかけ、ハリと弾力を取り戻す治療です。TCAピーリングは高濃度のトリクロロ酢酸を使用し、特に深いアイスピック型のクレーターに効果があります。
治療後の肌は刺激を受けやすく、ケアの仕方によって仕上がりに差が出ます。紫外線対策と保湿を徹底し、肌の回復を妨げない生活を意識することが大切です。
紫外線対策
治療後の肌は紫外線に敏感な状態です。外出時は日焼け止めを欠かさず、帽子や日傘で肌を守りましょう。紫外線を浴びると炎症や色素沈着の原因になるため、曇りの日でも対策が必要です。
保湿ケア
十分な保湿は、肌の再生を助けます。洗顔後は刺激の少ない化粧水や乳液でうるおいを与え、乾燥を防ぎます。過度な摩擦は避け、肌にやさしくなじませるように行いましょう。
ニキビを作らない生活習慣
睡眠不足や食生活の乱れは、皮脂の分泌を増やしてしまうことで再発の原因になります。バランスのとれた食事と十分な休養を心がけ、肌のコンディションを整えましょう。枕カバーやタオルを清潔に保つことも再発防止につながります。
フェミークリニックでは、症状や肌質に合わせた治療で多くの患者さまのニキビ跡を改善してきました。ここでは、実際に治療を受けられた方のビフォーアフター写真をご紹介します。
※施術内容や価格等は該当施術を行った時点の情報となります。
| 治療詳細 |
【ACRS】 自身の血液を採取し、成長因子をブレンドしたものを注入することで肌再生を促します。 【イソトレチノイン】 ビタミンA誘導体の一種イソトレチノインを服用し、過剰な皮脂分泌を抑える 【サブシジョン】 皮膚の下で硬く癒着した組織を針で切り離し、へこんだ部分を持ち上げ、肌表面をなだらかにします。 |
|---|---|
| リスク・副作用 |
【ACRS】 発赤、腫脹、内出血、痒み、熱感、軽いこわばりが数日~1週間ほど続くことがあります。 また、まれに遅延型アレルギーが生じることがあります。 【イソトレチノイン】 粘膜の乾燥症状(唇・鼻の乾燥、ドライアイなど)鼻血や頭痛などがみられる場合があります 【サブシジョン】 内出血や赤み、腫れ。個人差はありますが、内出血は1週間程度で自然に消えていくケースがほとんどです。 |
ニキビ跡のクレーターは、セルフケアでは改善が難しく、専門的な治療が必要な症状です。
炎症による深いダメージを修復するためには、ダーマペンやサブシジョンなど、真皮層に働きかける治療が効果的です。
フェミークリニックでは、肌質やクレーターのタイプを見極め、お一人おひとりに合わせた治療を提案しています。ニキビ跡に悩まれている方は、お気軽にご相談ください。
記事監修
フェミークリニック
総院長兼、渋谷院院長 北山英美子
【経歴】
1999年 3月 東邦大学 医学部 卒業
1999年 4月 東邦大学 形成外科 入局
2003年 5月 渋谷フェミークリニック 院長就任
2006年 2月 フェミークリニック 総院長就任
2026年 4月 渋谷フェミークリニック 院長就任
日本美容外科学会(JSAS) 所属
日本形成外科学会 所属
日本皮膚科学会 所属